【劇団の話1】生きるとは祈ること
神様って日本語が分かるのだろうか。
人生を通じて何回お参りに行ったかは数えていない。
その都度、お賽銭をして何か願い事をするわけだけど、常に疑問だった。
どれだけ普段から良い行いをしてても神様がこっちの言葉を理解してなかったら意味ないよな。
まぁ、全然誇れるような毎日を送っているわけじゃないけどね。
先日、劇団ひまわりのダンスフェスティバルに行ってきた。
劇団で以前同じクラスだった人が出演するので見に来てほしいと声がかかった。
出演者はチケットのノルマがあって大変。
阪急吹田駅の近くにある吹田市文化会館が会場だった。
1部と2部の2時間の公演。
ダンスフェスティバルというわけだから、様々なジャンルのダンスプログラムが組まれている。
JAZZだったりバレエだったり日本舞踊だったり。
正直ダンスに無知の僕には技術的なことは全くわからない。
ほとんどの時間を可愛い女の子探しや際どい衣装に目を凝らすことに使った。
席がもっと前だったら別の景色が見れたのではないかとチケットをギリギリに買ったことを悔やんだ。
2時間の公演を終えて、僕が思ったことは
『刺激になって良かった』
ということだ。
もちろん性的な刺激ではなく。
今回の公演ではおそらく50人以上の出演者がいたと思う。
出演者全員がその公演に向けて賢明に努力してきたことは素人の僕でもわかった。
週1回のレッスンの中で短い台本を覚えるのでも僕はひーひー言っている。
それが1演目10分くらいのダンスを人に見せられるレベルに昇華するのは並大抵の練習量ではない。
公演が完成するまでの過程を想像して僕は感動していた。
生きているといろんな人と関わる。
その中で僕が魅力的だと思う人たちには目標があった。
目標に向かって全力で人生を燃やしている人だ。
だから僕は見に来てよかったと思った。
ここはそういった人が集まる場所だ。
踊り(ダンス)の起源は神様への祈りや感謝を伝えるコミュニケーションツールとしてらしい。
トランス状態になったシャーマンは人としての精神を放棄し神々と交わる。
人々は踊り、歌いそして演じる。
そこには言語など存在していない。
この公演を通して感じたものは全力で生きることへの熱量だ。
彼らが発したメッセージは言語を介さずとも僕のもとに届いた。
もしかしたら神様も同じ気持ちなのかもしれない。
本気の人は応援したくなるものだ。
帰り道は強い向かい風だったが足取りは軽かった。
神様が微笑むように。
『全力で生きること』
それが1番の神様への祈りだ。