【ヨルダンの話1】タクシーはその国風を表す

ヨルダンのクイーンアリア国際空港には深夜の3時に到着した。
名前がかっこいいのであえて空港名を出してみました。


空港からアンマン市内へのエアポートバスは運行していたけれど、そんな深夜に市内に着いたところでどうしろって言うんだということで空港で夜が明けるまで仮眠をとることにした。

まだ真夜中なので空港からの景色はよくわからない。
それでも初めての中東に緊張しているからなのかこれまでとは違う雰囲気を夜の闇の中に感じた。


寝ているとトントンと身体を軽く突かれる。
二重の彫りの深い瞳の男は僕が目覚めると
「タクシー?」
と言った。


んなわけねーだろ。
寝てる人間がタクシーを欲することがある国なのか?ヨルダンは。


それからも何度か彼のタクシー攻撃は続いた。


空港に日が差し込む。
何度か起こされているのでしっかりと寝た感じがしない。

そろそろ市内に移動してもいい時間だった。

再び彼が「タクシー?」
と聞いてくる。
正直、「タクシー!」だったけれどこいつからだけは乗らないと3回目くらいに決めていた。


彼を振り切って市内行きのバスへ乗り込む。


やはり砂漠の中の街なのか少し乾燥している。
カラッとした空気とまっすぐな日差し。
じんわりと汗が流れる。

アンマンの街が見えてきた。
街全体が薄茶色の石造りの建物で統一されている。
想像していた通りの街並みだ。
いよいよ初めての中東だ。



バスで降ろされたところはホテルからは少し離れたところだった。
丘の上にまたがりながら広がり、起伏の激しいアンマン市街。
徒歩40分と表示されているけどこれを40分で歩き切るのは果てしない筋肉の人間だけだろう。


空港で買ったSIMカードが機能せずで電波がなかったので流しのタクシーを拾うしかなかった。
タクシーを拾うのは簡単だった。
街中にはタクシーが溢れている。
走っている車のほとんどが黄色いタクシー車両だ。

この国の就職先はタクシードライバーしかないんか?


ノリのいいBGMが車内で流れる。
縦ノリをして揺れる運転手の口笛の音。
時刻は朝8時。
社会人だった頃は朝の情報番組を見終えて出勤のために家を出る時間だ。

もっと落ち着いた音楽かけてくれませんか。


ホステルから少し離れたところで降ろされる。
「俺はここまでだ。」
とタクシーの運転手。

死ぬみたいな台詞言うな。



そして請求額は30ヨルダンドル。
ネットで調べていたバス停からの正規料金は3ヨルダンドルだった。

目的地にも着かず、10倍の料金を請求するタクシードライバー。
少しの口論の末、お互いよくわからない英語の言い合いになったので財布を開いてみせる。
トルコリラを交換した10ヨルダンドルしかない。
彼はおそらく汚いだろう言葉をはいて財布の中の10ヨルダンドルを掴んで発進していった。




空港にいた彫りが深く二重の深い瞳を思い出す。
空港からホテルの前まで15ヨルダンドルで行ってやると言っていた。
ネットで調べた空港から市内までの正規料金は15ヨルダンドル。



あいつの方がちゃんとした奴だったんかよ。

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