【タイの話6】初めては誰と一緒に

タイで過ごす時間も残りわずかになって来た。
本当にいろんな人のおかげでどう乗り切ろうかと考えていた2週間もあっという間に過ぎた。
予定していた黄熱病と狂犬病のワクチンも打ち終わりいよいよ次の国へのフライトまで数日になった。

今日から3日間、日本から前職の後輩のジンがバンコクへ遊びに来る。
初めての海外が僕との時間。

ちゃんと良い思い出にしてあげたいとどこに行こうか色々考えていた。

彼の興味はご飯と女の子
数日前に予習済みなので任せてくれと思っていた。
名物料理を食べて宿の人から教えてもらった風俗街に彼を放り込んだら良い。

そう思っていた。

ところがその日は国の記念日か何かで全てのお店が閉まっていた。
期待をビンビンにしていた彼にとって残念な1日になってしまった。
なんていうか彼は仕事の時から1人だけ希望外の部署に配属されたりと、微妙な運がないところがあるなと改めて思った。



次の日はその記念日は終わり、通常通りに街は戻っていた。
宿の周りは全部すけべマッサージ店で、店の外には女の子たちが手招きしてこちらに微笑む。
タイトなスカートが際どいVラインに視線を誘導する。

「この辺、ちょっと散策して来ます。
隣の店だけはちょっとないですね。」
と、タバコの火を消して、ジンは立ち上がったので終わったらご飯でも食べに行こうと彼と別れた。

数時間後、彼からメッセージが来る。
「女の子も連れて行って良いですか?」

どうやらすけべマッサージ店の女の子と連絡先を交換して、この後ご飯へいく約束を取り付けたらしい。
僕としては可愛い女の子が来るなら拒む理由なんてない。
ぜひ、一緒に行こうと返信した。



電車に揺られ彼女が知っているテラスのあるバーに向かう。
正直、ジンはなぜこの子を選んだんだろうと思った。
しかも、無いと言っていた隣の店の子だ。

日本のように写真とかパネルで選ぶわけでもない。
実際の女の子を目の前で見て、誰からサービスを受けるか決めることができる。
もちろん、好みの子がいなければそのまま店を出ることだって可能だ。

ジンの昔の彼女はものすごく可愛い女の子だったはずだ。
一周回ってこういうビジュアルの子に安心感を抱くようになったのかと思った。



その子の名前はもう覚えていないけれど、とにかく明るくて良い子だなと思った。
大きな口を開いて歯を剥き出しにして笑う姿は素敵だなと感じた。


ビールをリッターで頼んでシェアする。
少し遅くなって来たのでそろそろ帰ろうと思うと伝えると、どうやらジンはこれから彼女の家に行くらしい。
2人に挨拶して、タクシーに乗り込む。



ジンにとって良い思い出になりそうで良かったなと思った。
次の日の昼のフライトでジンは日本に帰って行った。


どうだった?とメッセージを送る。
「しっかり1500バーツ払いました。」

あ、そこはしっかり有料なのね。
彼にとって良い旅行だったと信じたい。

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