【トルコの話3】奥様は朝に強い方がいい
広大な景色。奇妙な形に削られた岩々。
楽しそうに写真を撮る2人を見ながら大切な人と思い出を共有するのは素敵なことだなと思った。
早朝の便でカッパドキアで有名なカイセリの空港に着いた。
ツアーのバスが空港まで迎えにきてくれる手筈になっている。
ツアーにしたのはバスをとったり、どこを回ったりするのかを考えるのが面倒だったのと、ツアーの方が他の参加者の人と関われるかなと思ったからだ。
ツアーでは新婚旅行で来ていたしょうたさん、なつきさんご夫婦と一緒になった。
2人にとって大切な時間なので、同行するのは少し憚られたけれど、奥様のなつきさんから「一緒にまわりましょうよ」と言っていただけたので甘えることにした。
溌剌としていて面倒見が良さそうな姉御肌のなつきさんと、冷静に温かくなつきさんを支えるしょうたさんのペアはすごく理想的な関係に思えた。
明日は気球ツアーが控える。
カッパドキアのメインイベントは気球からのぞむ朝焼けの奇岩群だ。
360°に広がる無数のきのこ岩を照らす朝焼けは言葉にし難いぐらい美しい。
トルコに来たのであれば絶対に外せない一大イベントだ。
2人もそれを新婚旅行を彩るフィナーレとして楽しみにしていた。
僕も気球には乗らないけれど、地上からその景色を見に行こうと思っていた。
インスタグラムやインターネットでも何度も見た景色が明日、ついに目の前で現実となる。
こうやって一つ一つ実現していくんだなと嬉しかった。
次の日、目が覚めると10時を回っており朝焼けはしっかり終わっていた。
迎えのバスが来てご夫婦と合流する。
大興奮のお二人。
360°カメラで撮った映像は想像以上に美しかった。
宿泊したホテルにジャグジーがついており何回も湯船に浸かった。
ここ1ヶ月、シャワーばっかりだったのでお湯に浸かれることがとにかく嬉しかった。
半身浴をして汗をかいて水をたっぷり飲んでを何回も繰り返した。
そして、朝焼けを寝過ごした。
え、俺わざわざカッパドキアきて気球見ずに帰るん?
これじゃあカッパドキアで死ぬほど半身浴した人じゃん。
明日にはイスタンブールで予定があるので今回の旅ではカッパドキアの気球を見る時間はない。
なつきさんが言う。
「いつか絶対に見てほしい!
新婚旅行でまた来たら良いんですよ!」
溌剌と笑う。
こういう明るさがなつきさんの魅力なんだろうなと思った。
確かにそうだなと思った。
来たいならまたいつか来たらいい。
旅が終わっても人生は続くんだ。
その時はジャグジーを破壊してでもお風呂には入らない。
そして朝に強い女性と結婚しようと思う。